COLUMNお役立ち介護コラム

2025.11.17 更新

無意識に使っているかもしれないスピーチロック!問題点を理解し改善していこう

皆様こんにちは。福祉のキャリアカレッジです。皆様は「スピーチロック」という言葉を知っていますか? 介護の現場においては、身体拘束、薬物拘束と並び問題視されるものの1つです。スピーチロックは無意識のうちに使ってしまいがちで、しかもそのことに自分では気づきにくいという特徴があります。今回は、介護におけるスピーチロックの問題点と防止のためにどのような対策が必要かというお話をします。

スピーチロックとは何?

スピーチロックとは、言葉により相手の動きを制限するいわば「言葉の拘束」です。相手に対して指示や命令をする言葉がスピーチロックに該当します。具体例を挙げると、以下のようになります。

「ちょっと待ってて」

「危ないからじっとしていて」

「そこに座って動かないで」

「○○しないで」

 

いずれも、利用者の危険を避けるために、つい言ってしまいがちな言葉ばかりですね。介護する側としては、相手の行動を押さえつけるつもりはないのかもしれません。しかし、このような言葉を発すれば、利用者は行動の自由を奪われることになります。

介護現場におけるスピーチロックの問題点

介護現場において、スピーチロックは、「身体拘束」「薬物拘束」と同等の拘束として問題視されています。しかし、介護する側は無意識で使っていることが多く、言われた利用者も気付かずにストレスだけ感じているというケースが少なくありません。具体的には次のような複数の問題点があります。

1)利用者の行動意欲や身体機能を低下させる

「待ってて」「動かないでじっとしていて」などの言葉で行動制限され続けると、利用者自身の考えでは動くことができないため、行動意欲が失われていきます。その結果、行動制限されている時間以外も身体を動かす機会が減り、身体機能も低下してしまいます。

 

2)要介護度や認知症の症状を悪化させてしまう

何かしようとするたびにストップをかけられれば、簡単なことでも自発的にはしなくなるでしょう。日常的な活動もどんどん自分ではできなくなっていき、要介護度が進行します。掛けられた言葉を拒絶と受け止めれば、被害妄想やせん妄を引き起こすきっかけになるかもしれません。

 

3)意思表示を諦めさせ自己肯定感を低下させる

自分で考えたり決めたりしても実行できないことを悟ると、自分の意思を表さなくなり、すべての行動を施設や介護職員に委ねるようになります。他社とのコミュニケーションを絶ち、精神的にも孤立するでしょう。このことは、社会性の低下にもつながる大きな問題です。

 

4)高齢者虐待と受け止められる可能性がある

言葉により相手の行動の自由を奪う行為は、高齢者虐待防止法における「身体拘束の定義」に該当する可能性があるうえに、掛けた言葉の内容やシチュエーションによっては、報告が必要な心理的虐待に該当する可能性もあるります。特に認知症の利用者にとって、行動を否定する言葉や、禁止する言葉は心の傷となって残りやすいものです。

 

5)目には見えない形で相手を拘束している

身体拘束は目に見えるため、周囲も利用者も拘束の事実に気付きますが、スピーチロックは問題意識がなければ、本人も周りも、言われている利用者もなかなか気付きません。忙しいから、人手不足だからという言い訳が効きやすい点も問題です。

スピーチロックを防ぐためにできることは?

スピーチロックを防ぐためには、まずスピーチロックを使いがちな状況、たとえば利用者がどのような状態のときに、どのような言葉を掛けてしまっているのかを分析しましょう。利用者の言動に対してイライラして不適切な言葉を使っているのだとしたら、利用者がどうしてそのような言動をしたのかという背景を理解することも必要です。なぜそのような言動をしたのかを理解できれば、別の言い方ができるかもしれません。

 

言い換えの重要性

ただ少しの時間待ってほしいことを「待って」、やめてほしいことを「やめて」と伝えるだけで、「拘束だ」「虐待だ」と言われるのは心外だという人もいるでしょう。しかし、それは勘違いです。実は、「待ってもらいたい」「やめてほしい」と利用者に伝えること自体が問題なのではありません。言葉の選び方と言い方のせいでスピーチロックになっているだけです。

 

短い言葉で行動を制限する指示や命令を出している点が問題なので、きちんと理由や待ち時間を具体的に伝えることで解決できます。相手の気持ちを尊重するような丁寧な言葉遣いで伝えることも意識しましょう。

 

「今○○をしているので、あと5分だけ待ってもらえますか?」

「部屋を暗くするので足下が見えづらくなります。危ないので座ってもらえますか?」

 

このように具体的な理由も添えてお願いすれば、指示や命令とは感じにくくなります。

 

いかがでしたか。このようなスピーチロックは、職員に余裕がないときに起こりやすいため、個人の意識改革だけでは解決できないこともあります。施設側が十分な人員を確保して、余裕をもって働ける環境にすることも、スピーチロックを防ぐうえで重要なポイントです。皆様が就職先を探すときには、その点も踏まえて探してみてくださいね。

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